今さらながら「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んでみた

AI vs 教科書が読めない子どもたち

先日、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本を読みました。

 

本書は、「2019年ビジネス書大賞 大賞」も受賞している話題の本です。

前々から気にはなっていたのですが、ようやく読むことができました。

 

予想以上に面白かったので、ご紹介します!

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」のあらすじ

著者は、東ロボくんのプロジェクトを統括した研究者である、新井 紀子氏。

東ロボくんは、今あるAI技術を使って、東大に合格できるロボットを作ろうというプロジェクトです。

 

AIは文章の意味が理解できない

本書の前半は、主に現状のAI技術の限界や東ロボくんでどのように問題を解いているかといったことを説明しながら、AIができること・できないことをあぶり出しています。

 

著者は、研究者の立場から、著者は現状のAIについて以下のようなことを述べています。

  • 今のAIは所詮計算機の延長にしかなく、数学で扱えない問題は解けない
  • シンギュラリティは来ない
  • 今のAIに文章の意味を理解することはできない

 

東ロボくんについても、とても東大に合格するレベルには達していない、と評されています。

 

RST

著者が大学生の学力低下を肌で感じていたことに端を発して、大規模な読解力調査を行うことになり、読解力測定のために生まれたのが、リーディングスキルテスト(RST)です。

 

著者によれば、RSTというのは、

AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げ、エラーを分析してきた蓄積を用いて、人間の基礎的読解力を判定するために開発したテスト

だと述べています。

 

例えば、RSTには、2つの文書の意味が同じかどうかを判定する同義文判定や、文章と図形を見比べて内容が一致しているかを判断するイメージ同定などの、現状のAIでは判断が難しい問題が含まれています。

 

問題のタイプ別の能力値がAIと比較できるようになっているのです。

 

RSTの例題と回答

本書で紹介されているRSTの例題は、以下のようなものです。

【問2】
次の文を読みなさい。
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
Alexandraの愛称は(  )である。
①Alex ②Alexander ③男性 ④女性

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」より引用

上記の問題は①が正解なのですが、全国中学生の平均正解率が38%、高校生の平均が65%だったそうです。

 

ちなみに、本書の続編の「AIに負けない子どもを育てる」では、RSTの模擬試験が収録されており、自分の基礎読解力を検定することができます。

 

多くの人はAIに代替される?

というわけで、現状のAI技術では、文章の意味を理解することができず、とても東大に合格するようなレベルではない、と言う話でした。

特に、のようなタイプの問題は、今のAIでは解くことが困難とのことでした。

 

一方で、そのような分野では多くの中高生も正解できておらず、人間の子供がAIに勝っていたかと言えばそんなこともなかったのです。

 

このようなことから、著者は、

近い将来AIに代替される仕事は増え、多くの人が仕事を失うのではないか

と危惧しています。

 

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んだ感想

全体的におもしろく読ませてもらいました。

 

まず、AIの限界が示されていて、少し安心しました。

文章の意味を理解して適切な答えを出すというのにはほど遠く、ましてやAIが自己学習して人間の知能を凌駕する(シンギュラリティが来る)というのは、SF的な話にすぎないのです。

ぼくも、世間的なAIの盛り上がりから、シンギュラリティでAIを制御できなくなる未来が来るんじゃないかと漫然と不安に思っていたくちですが、その点では安心しました。

 

一方で、人間の子どももAIとどっこいどっこいの読解力しか持たない人が多いという事実は衝撃でした。

多くの中高生は、文章の意味を理解せずに、表面的に単語を拾ってパターンマッチしているだけ。

 

ぼくにも子どもが2人いるので、他人事ではありません。

どういう教育をしたら良いのか考えさせられました。

 

しかし、本書においては、どうすれば基礎読解力を伸ばせるのかは明らかにされておらず、モヤモヤしました。

ただ、基礎読解力は読書量や勉強時間などとは相関が無く、基礎読解力に関係する因子は発見されていないと書かれているのみです。

科学的な検証がないといい加減なことは言えないのはわかるのですが、やはり親としては気になりますね・・・。

(なお、続編の「AIに負けない子どもを育てる」では、答えらしきものが一応書いてあります。)

 

とはいえ、本書は、子どもへの教育や能力開発の方向性に重要な示唆を与えてくれます。

読んでおいて損はないでしょう!