最近、密かに話題となっているリーディングスキルテスト(RST)というのをご存知でしょうか?
RSTとは、「2019年ビジネス書大賞 大賞」に選ばれた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本で紹介される、読解力を測定するテストです。
上の本を読んで、RSTに興味を持ったぼくは、その試験の実態を確かめるために潜入調査してきました!
くまの助
というわけで、この記事では、ぼくがリーディングスキルテスト(社会人向け)を受験したときの様子や試験結果をレポートします!
本記事の内容
リーディングスキルテスト受験体験記!
まず、ぼくが実際にリーディングスキルテストを受験した体験談をご紹介します!
RST受験の動機
なぜぼくがリーディングスキルテストを受けようと思ったかと言うと、新井 紀子さんの著書「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の影響です。
この本では、リーディングスキルテストが、
子どもの読解力のみならず、その後の難関大学合格など、学力のコアな部分までを測定できる手段
として紹介されており、どんなものか興味を覚えたのです。
そんなすごいテストなら、是非自分で受けてみて、体験してみたいという動機ですね。
なお、現状では、RSTを受けたからと言って直接的なメリットはないのですが、今後は社会人の採用などにも使われる可能性はあるんじゃないかと思います。
もちろん、自分の読解力がどの程度のものであるのか知ることができるので、自分の強み・弱みを知ることは受験のメリットです。
いざ試験会場へ!
そんなわけで、RSTの受験申込をしたぼく。
一般の個人として受験する場合は、代ゼミのウェブサイトから予約します。
だいたい4ヶ月に1回くらいの頻度で開催されているようですね。
試験までは、特に対策という対策は特にしませんでした。(新井さんも著書でRSTは対策せずに受験するようにと言っていたので)
試験当日。
代々木駅から徒歩5分にある、試験会場の代ゼミタワーに来ました!
代ゼミはご存知の通り、大学受験予備校。
大学受験生と思しき人に混じって、ぼくも建物の中へ。
おっさんとなった今、受験予備校に足を踏み入れるのは、新鮮な気分です(笑)
入り口には、リーディングスキルテストの会場の案内がありました。
エレベーターで13階まで上がり、受付を済ませます。
ちなみに、リーディングスキルテストは、今回が第2回の開催とのことです。
はじまってホヤホヤのテストってことですね。
試験会場内には結構な人が
受付で案内された教室に入ると、すでに結構な人数の人がいました。
最終的に、100名程度の受験者がいたと思います。
もっと小ぢんまりした試験なのかと思っていたら、予想以上に受験者の数が多かったですね。
受験者の年齢層は、ぱっと見たところ、30代からご年配者の方までかなり幅広でした。
ボリュームゾーンは30, 40代くらいですかね。
他の受験生がぼくみたいに興味本位で受けているのか、それとも別の目的があるのかは不明。
リーディングスキルテストの性質を考えると、学校の先生や教育関係の研究者の方がそれなりにいるんですかね?
ちなみに、学生は別の教室に集められており、ちらっと見たところで20名程度でした。
試験案内
机には、このように、受験要領を説明する紙と、タブレット(保護シートで梱包されている)が置かれています。
リーディングスキルテストでは、このタブレットを使って問題に回答するという方式です。
ちなみに、タブレットはHuawei製のものでした。
時間になると、試験官から試験の進め方についての説明がありました。
そして、試験官から、試験問題にアクセスするためのQRコードが配布されます。
そのQRコードをタブレットのカメラで読んで、URLへアクセス。
ここまでの作業で、やり方に戸惑っている受験生がそれなりにいました。
ぼくも普段タブレットを使ってないので、ちょっともたつきましたね。
アクセス先のWebページで必要事項を記入し、試験官の合図があると、試験開始です。
試験の内容
リーディングスキルテストは、以下の科目に分かれています。
- 係り受け解析: 文の構造(主語・述語、修飾語・被修飾語の関係など)を把握する
- 照応解決: 代名詞が指す内容を認識する
- 具体例同定: 辞書 辞書的な定義を用いて新しい語彙とその用法を獲得できる
- 具体例同定: 理数 理数的な定義を理解して、その用法を獲得できる
- 同義文判定: 二つの文を読み比べて、意味が同じかどうかを判定する
- 推論: 既存の知識と新しく得た知識から、論理的に判断する
- イメージ同定: 文と非言語情報(図表など)を正しく対応づける
※代ゼミのRSTのページより転載
そして、各科目では、
- 問題の説明文
- 例題
- 実際の問題
の流れで進みます。
問題の説明文や例題のページは、自分で「次へ」のボタンを押さない限り先に進まないので、このタイミングで小休止することも可能です。
実際の試験では、それぞれの科目について、だいたい10問くらい問題に回答しました。
ただ、科目ごとに制限時間があるため、人によって回答する問題数は異なるようです。
制限時間になると、強制的に次の科目に画面が切り替わります。
(なお、未回答の問題があっても、成績に影響しないとのこと。)
問題文の文章の内容は、数学、生物、歴史、経済など、幅広い分野のものでした。
問題ごとにジャンルが全く違う文章を読むことになるので、頭の切り替えが大変でしたね。
そして、タブレットを凝視しなければならないので、目が疲れる(笑)
実際に問題を解いていた時間は、1時間弱でしたが、かなりぐったりしました。
試験終了後に結果が見れる
全ての科目の回答が終わると、最後に各科目の評価が出ます。
ちなみに、ぼくは「照応解決」という項目だけ成績が悪くて、社会人の平均以下でした・・・。
それ以外の科目は偏差値60前後でした。
正式な試験結果は、試験から1ヶ月以内に郵送されるとのことで、その日は成績をなんとなく頭に入れて試験会場を去りました。
リーディングスキルテストの偏差値はいかに?
試験から約2週間後に、代ゼミから試験結果が郵送されてきました。
それがこちら。
ぼくの分野ごとの成績は、
- 係り受け解析:評価A、偏差値62.9
- 照応解決 :評価D、偏差値47.4
- 同義文判定:評価A、偏差値58.9
- 推論 :評価A、偏差値64.0
- イメージ同定:評価A、偏差値64.6
- 具体例同定 辞書:評価A、偏差値53.7
- 具体例同定 理数:評価A、偏差値67.9
でした。
「照応解決」という、代名詞が指す内容を認識する科目が、評価Dとなぜか異様に悪い・・・。
一方で、「具体例同定」の理数(理数的な定義を理解して、その用法を獲得する)は、評価Aで偏差値67.9とかなり上位でした。
一応ぼくは理系なので、それが影響してるのかな?
一般的には、分野ごとの成績が大体同じか、前の科目の成績が比較的良くて後ろの科目は低い、というタイプの方が多いそうですが、あんまり当てはまっていませんね。
この結果が、全体としてどういう意味を持つのか、解説してほしいところですね・・・。
リーディングスキルテストの対策方法は?
というわけで、ぼくのRSTの受験体験と試験結果でした。
そんなリーディングテストは、事前に対策はできるのでしょうか?
RSTの主催者である新井 紀子氏は、「RSTは対策するものではない」と著書の中ではっきり述べています。
なので、過度にRST対策することは、試験の本質(読解力を測定する)から逸脱してしまい、推奨されるものではありません。
・・・とは言え、せっかく受験するんだから、「やっぱりいい偏差値を取りたい!」というのも人情ですよね(笑)
上で書いたように、ぼく自身はRSTの対策はしませんでしたが、RSTの対策をするとすればどういう方法があるかを、ご参考までに挙げておきます。
RSTの例題を説いておく
一番対策らしい対策といえば、事前に「RSTの例題を説いておく」ことですね。
「AIに負けない子どもを育てる」という本には、簡易版のリーディングテストとして、RSTの例題が掲載されています。
こちらの例題では、本番のテストで問われる形式がすべて網羅されており、答えも載っています。
こちらを事前に説いておくことで、「RSTではこういう問題形式で問われる」ということがわかるので、本番で混乱せずにすみますね。
あと、本書の例題で、簡易的にRSTの結果が出るので、「わざわざ試験を受けるほどでもないなぁ」という方は、こちらの本で済ませるのもコスパが良いですね。
科学系の文章に慣れておく
実際の試験では、数学や自然科学などの文章が結構な頻度で出題されました。
人によっては、科学的な専門用語が出てくるだけで拒否反応を起こしてしまう、という方もいるでしょう。
日頃から、サイエンス系のネット記事や本を読んで、こういった科学系の文章に慣れておくと良いですね。
図表から意味を読み取る練習をする
RSTでは、「イメージ同定」という形式の問題が出題されます。
これは、文章と図表などの非言語情報とを正しく対応づける、という問題です。
イメージ同定の問題は、折れ線グラフやパイチャートのような図表に慣れていると、有利に進めることができます。
例えば、ネットに落ちている統計資料を読んでみるなどをしておくと、本番に役に立つ可能性があると思います。
まとめ
というわけで、リーディングスキルテストの受験レポートでした。
全体的には、社会人の読解力として問題無しという結果が出たので、とりあえず安心しましたね。
でも、科目間で成績のばらつきがあったぼくとしては、各科目の成績が全体としてどういう意味を持つのか、解説がほしいところでした。
個人的には、科目全体の成績でタイプ別診断みたいなのをやってくれたら面白いと思うのですが、どうですかね?
とはいえ、RSTは自分の読解力を見直す良い機会になるので、興味のある方は受験してみてはいかがでしょうか?!
RSTを詳しく知りたい方は
RSTのさらに詳しい情報は、新井紀子氏の著書「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」や「AIに負けない子どもを育てる」を読むとよいです。
AI vs. 教科書が読めない子どもたち
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」では、東ロボくんの研究開発の中でRSTが生まれた背景や、RSTによって測定される現代の子どもの読解力が危機的状況であることが書かれています。
AIと子供については、「今さらながら「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んでみた」という記事で感想を書いているので、こちらもご参考に!
今さらながら「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んでみた
AIに負けない子どもを育てる
「AIに負けない子どもを育てる」は、上で紹介した「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の続編に当たります。
前著から一歩進んで、RSTで測定される読解力をどうすれば引き上げることができるかの考察が書かれています。
さらに、RSTの問題が収録されていて、簡易的に読解力を測定できるので、RSTの問題を解いてみたいという方におすすめです!