家庭環境は子供に影響しない?【子育ての大誤解】の感想

子育ての大誤解

どうも、くまの助です!

2人の子供のおやじやってます!

 

親なら、我が子がちゃんとした人間に育ってほしいと誰しも思うもの。欲を言えば、社会的に成功してほしい・・・。

 

そんな親のために、子供はこう育てるべきといった子育てノウハウ本が世に溢れており、膨大な情報の前に途方に暮れている親御さんも多いかと思います。

 

しかし、本書、子育ての大誤解はそんな方に目から鱗が落ちるような知見を与えてくれます!

私は、橘玲氏の言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)という本で本書が紹介されているのを読んで、興味を惹かれて本書を購入しました。

 

本書は上巻・下巻合わせて800ページを超えるボリューム!読むのにかなり苦労しました(笑)

 

本書で書かれていることをかいつまんで言うと、「子供の性格や社会的振る舞いに影響与えるのは、家庭内のしつけではなく、学校など家庭外での環境である!」ということ。

 

これって、一見世間の常識とは異なりますよね?

いったいどういうことなんでしょうか!?

 

子育ての大誤解の内容

家庭環境は子供に影響しない?!

親が子供に影響与えるものとして、まず遺伝があります。

 

近年の研究によれば、親からの遺伝が子供の様々な特徴に対し、驚くほど影響することが明らかになっています。

例えば、子供の身長などの身体的特徴はもちろん、頭の良さ(言語能力や数学的能力)、さらには精神疾患の罹患可能性にまで影響することが知られています。

 

しかしながら、親からの遺伝だけで子供の特性が100%説明できるわけでは無く、遺伝以外に何らかの後天的な要素も影響していると考えられます。

 

では、遺伝以外の後天的な要素とはなにか?

世間的な常識に照らせば、それは家庭内の環境であることは疑いの余地がないでしょう。

 

ところが、この常識に反して、著者は驚くべき主張をしています。

なんと、家庭環境は子供の特性にほとんど影響を与えないというのです!

 

家庭環境が子供の特性にほとんど影響しないことを示す根拠として、著者はそれを裏付ける数多くの研究結果を挙げています。

 

その一方で、親の教育が子供に影響与えることを示す研究結果があることも事実です。(そして、それは子育て神話の証拠となっているわけですが)

 

しかし、それらの実験は親がいる前での子供のいる振る舞いを調べたものであり、親がいないところでの子供の振る舞い(すなわち社会的振る舞い)を裏付けるものではないと著者は主張します。

なぜなら子供は、属する集団によって異なるキャラクターを使い分けるからです。

 

子供は仲間集団に影響される!

では、遺伝以外で子供に影響耐えるものは何なのか?

それが家庭環境ではないとすると、残る答えは「家庭外の環境」しかありません。

 

本書によれば、子供の特性に影響を与えるのは家庭外の環境(非共有環境)、より具体的には仲間集団だと言うのです。

 

本書で言う仲間集団とは、学校のクラスメートや課外活動の友達のみならず、「男の子」「女の子」といった社会的カテゴリーも含む広い概念です。

そのため、仲間集団がどのように子供に作用するかを知る事は容易ではありませんが、著者はそのメカニズムについてこう説明します。

 

一つは、子供は仲間集団に合わせようとすることです。

 

子供は仲間はずれにされることを何より恐れます。これが良くも悪くも同調圧力となって、同じ集団に属する子供は似た振る舞いをするようになります。

 

もう一つは、子供は仲間集団の中で自分の個性を探そうとすることです。

例えば、クラスの中で「自分は足が速い」とか、「自分は人を笑わせるのが得意だ」などと意識することで、自分のキャラクターを確立していきます。

 

確かに、我々が子供の頃を思い返せば、何となく実感できるのではないでしょうか?

 

親にできる事は?

では、家庭内の環境はほとんど子供に影響を与えず、仲間集団が強い影響を与えることが正しいとすると、親が子供にできることはないのでしょうか?

本書では、それを考えるヒントを提示しています。

 

例えば、本書で紹介されたエピソードとして、

不良グループに入りついには高校を中退してしまった息子を持つ母親が、意を決して辺鄙な小さな町に住む親戚の家に息子を預けたところ、修学態度が良くなり最終的には大学に進学した

という事例が挙げられています。

 

その他に、クラスで子供がいじめられている場合には転居によって学校を変えるといった選択をとることや、子供が仲間集団で好ましくないポジションに置かれないために、子供の外観を可能な限り普通に且つ魅力的に見えるように親が気を配る、といったことが挙げられています。

 

つまり、子供の集団内でのポジションを良くしたり、子供が属する仲間集団をより良くするために、親が介入できる余地があるかもしれないと言うことです。

 

ただ難しいのが、親から見て好ましいと思われる集団・環境に子供を入れることが、本当に良い方向に作用するかは誰にもわからないということです。

子供をエリート集団に入れたとして、そこで子供が劣等感を持ってしまえば、それは悪い方向に作用する可能性があるわけで・・・。

どちらかと言うと、明らかに悪い集団から切り離すといったケースに意義があるような気はします。

 

子育ての大誤解を読んだ感想

ぼくは本書を読んで、まず「家庭環境は子どもに対して影響を与えない」こと、そして「子どもは仲間集団から強い影響を受ける」ことに衝撃を受けました・・・。

 

そしてもう一つ印象に残ったのが、世の中に溢れる子育て神話についての著者の痛烈な批判です。

 

世間は親の子に対する影響(家庭環境)を過大評価しており、親は子育てについて理不尽なまでに責任を押し付けられています。親の育て方が悪かったから子供がこうなってしまった、なんて意見はよく耳にしますよね?

 

そのため親は我が子を良く育てようとして、巷に溢れる子育てのアドバイスに振り回され疲弊してしまっている・・・。

 

著者はこのような現状に対して疑問を投げかけます。

子供を正しく育てると本当にいい子に育つの?

子供が悪い人間になってしまったのは、親の育て方のせいなの?と。

 

もちろん、子供をないがしろにしてもいいわけでは決してありません。

子供を虐待すれば心身に癒し難い傷を負わせることになりますし、そこまででは無いにしても、子供にひどい扱いをしていれば将来的な親子関係が悪くなることは明らかです。

 

しかしながら一方で、親の与えるしつけや教育が全て子供に影響する、あるいは親の思う通りに子供をデザインできると考えることも、また間違いなのです。

 

本書を参考に、親にできることできないことをしっかり意識して、子供に向き合ってことが重要だと思いました。